鈴虫寺
嵐山の南、桂川と西山にはさまれた閑静な土地にあるお寺です。
正式には、妙徳山華厳寺といいます。
一年中、リーン、リーンという鈴虫の声が聞こえるところから、「鈴虫寺」と呼ばれています。
いつ、だれが、建てたお寺なの?
享保八年(1723)、鳳潭(ほうたん)上人(しょうにん)が、華厳宗の再興を願って創建したお寺です。
もともとは、平安時代末に延朗上人によって建立された「最福寺」があった土地です。鈴虫寺の東にある「谷ヶ堂」は、最福寺の旧跡です。
ちなみに、延朗上人は、源八幡太郎義家の後裔(こうえい)だと言われています。
慶応四年(1868)、慶厳上人により臨済宗の禅寺に改められました。
御本尊は大日如来様です。
なぜ、一年中、鈴虫が鳴いているの?
鈴虫は6月に孵化(ふか)して、2ヶ月後に成虫となります。幼虫から、蛹(さなぎ)にならず成虫になる不完全変態です。
成虫になると、オスはメスの関心をひくために、翅(はね)をすり合わせて、リーンリーンという涼やかな音を立てます。
産卵した後、10月末には短い一生を終えます。
鈴虫寺では、八代目の住職が28年間の研究の末、卵の温度管理などに成功し、一年中鈴虫の鳴き声を聞くことができるようになりました。
現在は50,000匹の鈴虫が飼われています。
鈴虫の鳴く音色は教えの音と言われます。
その涼やかな音が、悩んだり迷ったりする心を慰めてくれるのです。
わらじをはいた幸福地蔵さん
鈴虫寺の石段を上ると、山門の脇にお地蔵様が立っておられます。
「幸福地蔵さん」と呼ばれていますが、本当は「幸福地蔵菩薩」です。
お地蔵様は、悩んだり苦しんだりする人々を救って下さいます。ですから、阿弥陀如来や大日如来、弥勒菩薩や観音菩薩は極楽浄土にいらっしゃいますが、地蔵菩薩だけは、地獄に住まわれて、地獄に堕ちた者を救おうとされています。
生きている人々の願いを叶えて下さり、幸福にしてやろうとお考えなのです。
そのため、幸福地蔵さんは、わらじをはいておられます。わらじをはいて、御自分から、私達の方へ歩いて来て下さるのです。私達に御自分から救いの手をさしのべて下さるのです。
幸福地蔵さんは願いを叶えて下さるの?
幸福地蔵さんは、私達を苦しみから救うために、願いをかなえて下さいます。
でも、お願いは、たった一つしかかなえて下さいません。
それも、他人の不幸を願ったり、呪ったりするお願いは聞いて下さいません。
みんなが幸福になるようなお願いをかなえて下さるのです。
学問成就・家内安全・商売繁盛などは、いいお願いです。お願いは、できるだけ具体的にするといいようです。子宝祈願、安産祈願も、いいですよ。
一番かなえて頂けるお願いは、恋愛成就だそうです。縁結びですね。
お守りもありますよ。
お願いをするときは、必ず、住所と名前を言って下さいね。願いをかなえに来て下さる幸福地蔵さんが迷ってしまうと困ります。
鈴虫寺では、まずお坊さんとお話ししてね
禅宗の教えの一つ「茶礼」に基づいて、お茶とお菓子が出ます。
お茶を頂きながら、御住職や副御住職のお話をうかがいます。決してかた苦しいものではありません。
アクセスと拝観時間
京都駅から
市バス28 大覚寺行に乗り、松尾大社前で下車。徒歩15分くらいです。
京都バス73 大覚寺行に乗り、苔寺・鈴虫寺前で下車。徒歩5分です。
三条京阪駅・祇園四条駅からは
京都バス63 苔寺・鈴虫寺行に乗り、終点で下車。徒歩5分です。
松尾大社から月読神社・鈴虫寺を通り苔寺(西芳寺)までの東海自然歩道をお散歩するのも、いいですね。少し足を延ばせば、竹の寺(地蔵院)があります。
松尾大社には、京都駅から、市バス28大覚寺行、または、京都バス73大覚寺行に乗り、松尾大社前で下車します。
阪急嵐山線松尾大社駅で下車しても、すぐです。
鈴虫寺の拝観時間は9:00から17:00までです。
ただし、拝観受付は16:30までです。