平等院と宇治の一日観光
宇治は平等院と源氏物語宇治十帖の街です。また、日本有数のお茶の産地でもあります。宇治の街を一日のんびり歩いてみませんか?
宇治へのアクセス
宇治へ行くには、JRか京阪電車を利用します。
京都駅からJR奈良線の快速に乗れば17分で宇治駅に着きます。快速は1時間に2本運行されます。
京阪三条または京阪四条から京阪電車に乗り、中書島で京阪宇治線に乗り換えて京阪宇治駅で下車します。
大阪からならば、淀屋橋駅か京橋駅から京阪電車の特急に乗り、中書島で宇治線に乗り換えます。1時間弱です。
橋姫神社から平等院へ
JR宇治駅から、まず橋姫神社へ行きます。京阪宇治駅からなら、宇治橋を渡ります。橋姫神社に参ってから、参道を通って平等院へ行きます。
- 橋姫神社は宇治橋の守り神ですが、嫉妬深い鬼女伝説でも知られています。
9世紀の頃、嫉妬深い公家の娘が貴船神社に7日間こもり、「自分を裏切った男と相手の女を殺してやりたいから、生きながら鬼になりたい」と祈りました。貴船の神は娘をあわれみ、「姿を変えて、宇治川に21日間漬かれ」と教えました。娘は顔も身体も赤くぬり、鉄輪(かなわ)をさかさに頭にかぶって松明(たいまつ)を燃やし、21日間宇治川の水に入って、生きながら鬼になりました。裏切った男も相手の女も、男の一族も、みんな、この鬼女に殺されました。この鬼女が宇治の橋姫です。
橋姫の鬼女は、200年後にも一条戻り橋で渡辺綱(わたなべのつな)をおそっています。
- 平等院は藤原道長の別荘でしたが、1052年に、道長の子藤原頼通が寺院
にしました。元々は光源氏のモデルとなった源融の別荘でした。
平等院は本堂をはじめ多数の堂塔のある大寺院でしたが、南北朝時代の戦火や災害のために、鳳凰(ほうおう)堂しか残っていません。この鳳凰堂は西方極楽浄土を現世に表そうとしたもので、平安時代末期に流行した阿弥陀(あみだ)信仰に基づいていると言われてきました。
平安時代末期は「釈迦(しゃか)の死後2000年目以後は仏法がすたれる」という末法思想がはやり、多くの人々が阿弥陀如来(にょらい)にすがって救われようとしました。ですから、鳳凰堂の御本尊は、西方浄土の教主である阿弥陀如来なのです。
しかし、最近の研究で、「平等院は阿弥陀信仰だけに基づいているものではない」ことがわかりました。失われた本堂の御本尊は密教の主尊である大日如来ですし、鳳凰堂の阿弥陀仏にも密教系の特色が見られます。密教は国家鎮護を役目とする仏教ですから、平安貴族が建てる寺院にはふさわしいのでしょう。
庭園の池の中島に建つ阿弥陀堂は、屋根に鳳凰がかざられ、建物全体が、鳳凰がつばさを広げたような形をしているので「鳳凰堂」と呼ばれます。中の本尊の阿弥陀仏像は、名人定朝(じょうちょう)の最高傑作と言われます。堂内の壁画も、極楽浄土を描いています。
境内には「平等院ミュージアム鳳翔館」があり、国宝の鳳凰像や梵鐘などが収められています。
宇治神社・宇治上神社から三室戸寺へ
平等院参道から橘(たちばな)橋・朝霧橋を渡って宇治神社・宇治上神社へ行きます。宇治市源氏物語ミュージアムを見て、三室戸(みむろと)寺まで歩きます。途中に、石碑やモニュメントなどがあります。
- 宇治神社・宇治上神社
元は一つの神社でしたが、明治時代に分かれました。応神天皇の子、仁徳天皇の弟皇子をまつっています。弟皇子は兄の仁徳天皇に皇位をゆずるために自殺しました。
宇治上神社の本殿は日本最古の神社建築と言われます。
- 宇治市源氏物語ミュージアムは宇治十帖の華麗にして優美、そしてあわれ
な世界を見せてくれます。
- 三室戸寺は約1200年前、光仁天皇の勅願によって裏山から出現した千手
観音像を本尊にして建てられました。西国三十三カ所の観音霊場の一つです。
5000坪の広大な庭園には四季の花が美しく咲きそろいます。特にツツジ・アジサイ・ハスの花がみごとです。紅葉の名所にもなっています。
黄檗山万福寺(おうばくさんまんぷくじ)へ
三室戸寺から15分ほど歩くと京阪宇治線三室戸駅に出ます。そこから京阪線に乗って黄檗駅で下ります。歩いて5分ほどで黄檗山万福寺に着きます。
帰りはJR奈良線の黄檗駅から稲荷駅へ出て、伏見稲荷にお参りすることもできますよ。
- 黄檗山万福寺は、1661年に中国人の隠元(いんげん)禅師(ぜんじ)によって
創建されました。
隠元禅師は中国福建省にある黄檗山万福寺の住職でしたが、弟子とともに来日して、宇治の地に寺院を開き、中国の寺院と同じ名前をつけました。禅宗の一派黄檗宗の総本山です。
ちなみに、日本の禅宗は曹洞宗・臨済宗・黄檗宗の三派です。
伽藍(がらん)の配置も建築様式も、そして安置されている仏像も、すべて中国風で、住職も13世までは全員中国人でした。
天皇殿に安置されているのは、たいこばらの布袋(ほてい)様で、弥勒物(みろくぶつ)の化身だそうです。
- 万福寺へ行くなら、ぜひ普茶料理(ふちゃりょうり)を食べたいものです。
普茶料理は中国風の精進料理で、高タンパク低カロリーです。季節の野菜や大豆・豆腐などを使い、味もボリュームも満点と言えます。
「普茶」とは「あまねく大衆に茶を供する」という意味で、4人1組で食卓を囲み、大皿に盛られた料理を取り分けて食べます。
万福寺の中で普茶料理が食べられます。ただし5日前までに予約が必要です。
電話 0774-32-3900(受付 9:00~17:00 普茶料理予約と伝えて下さい)
営業時間は11:30~14:30です。13:00までにお入りください。
コースは7000円と5000円の2通りで、2名から申し込めます。
3000円の松花堂弁当は1名でも大丈夫です。
万福寺門前にある「白雲庵」でも普茶料理が食べられます。
電話 0774-32-0700
ランチコースは、花5400円、月7020円です。ランチは11:00~16:00です。
夜のコース、宴会については、直接お店に問い合わせて下さい。
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宇治のおすすめスイーツ
宇治は茶どころ、甘い物もおいしいですね。 JR宇治駅南の「中村藤吉本店」は、宇治茶の老舗(しにせ)ですが、「Tokichi Café」では、抹茶パフェ・生茶ゼリィが人気です。 京阪宇治駅そばの「宇治の茶道場 匠の館」では、抹茶や玉露のいれ方を教えてくれます。抹茶チョコがつきます。 JR宇治駅から歩いて3分の「パティシェ山川」の宇治抹茶ロールもお勧めです。その近くに、抹茶アンパンで有名な「ラセール」があります。 橋姫神社の近くにある「能登掾(のとのじょう)稲房安兼」の茶だんごは、抹茶が入っているので、おいしいですよ。
宇治の名所はまだあります。
興正寺や石清水八幡宮、県(あがた)神社、など名所はまだあります。
6月半ばから9月半ばまで、宇治川で鵜飼も行われますよ。