京都の桜
京は桜のにあう都です。四月初めから(早い年は三月末から)、都のあちこちで桜が咲き始めます。京都全体が桜の名所と言えるほどですが、いくつかのエリアに分けて、花を追ってみます。
祇園白川から円山公園、高台寺を通って清水寺へ
女流歌人与謝野晶子(よさのあきこ)が祇園の夜桜を詠んだ短歌があります。
清水へ祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢ふ人 みなうつくしき
- 祇園白川
澄みきった白川の水が流れる祇園白川の街は、古いお茶屋さん(芸妓さんや舞妓さんを呼んで酒宴などする場所)が石畳の道に並んでいます。辰巳橋の辺りが中心で、川に沿って桜並木が続きます。
桜がライトアップされる時期は、花灯路も出来ます。
4月2日の午後2時半から5時まで、舞妓さん芸妓さんの撮影会があります。
アクセスは、京都駅から市バスに乗り、四条河原町で下車します。歩いて10分くらいで、祇園の街です。市バスの祇園で降りてもいいですね。
- 円山公園
八坂神社の東にある円山公園の中央にある「祇園枝垂れ桜」は有名です。公園内には680本の桜が植えられています。
3月14日から4月13日まで、日没から午前1時までライトアップします。3月28日から4月6日まで、日没から午後11時まで「篝火(かがりび)たき」をします。
- 高台寺
重関門の「高台寺桜」と方丈前庭の枝垂れ桜が知られています。ライトアップ期間は3月14日から5月6日までです。
- 清水寺
円山公園から「ねねの道」を通り、二寧坂三寧坂を登って清水寺参道に出ます。有名な「清水の舞台」から桜の海を眺めることができます。
奥の院まで行き、そこから本堂を眺めるのも面白いですね。三重塔や方丈池の辺りの桜も見事です。境内には約1000本の桜があります。
3月29日から4月13日まで、午後6時半から9時半までライトアップします。
清水寺へ直接行く場合、京都駅から市バスに乗り、五条坂で下車して10分くらい歩きます。四条河原町駅・祇園四条駅からは、市バス清水道で下車し、やはり10分くらい歩きます。
- 平安神宮神苑の紅枝垂れ桜
京都駅から市バスに乗り、岡崎公園美術館・平安神宮前で下車します。
神苑には約300本の桜があり、その半分が紅枝垂れ桜です。ことに東神苑と南神苑の桜の眺めがすばらしいです。
4月1日から15日まで観桜茶会が開かれ、お茶室「澄心亭」でお抹茶が頂けます。4月10日から4日間の夜は、ライトアップして「紅枝垂れコンサート」が開催されます。雨天決行です。
お問い合わせは075-241-6172 平安神宮事務局へお願いします。
平安神宮の北には黒谷金戒光明寺があります。広々とした境内で、約100本の桜が楽しめます。参道の桜並木も見事です。
- 岡崎桜回廊、十石舟めぐり
京都駅から地下鉄烏丸線に乗り、烏丸御池駅で東西線に乗り換えます。蹴上駅で降りて7分ほど歩くと、乗船場に着きます。
琵琶湖疏水を十石舟で夷川ダムまで往復します。往復約3㎞25分の船旅です。疏水沿岸の桜は、ソメイヨシノと山桜です。
舟の運航は3月27日から5月6日までで、午前9時半から午後4時半まで15分毎に出航します。ライトアップされる3月28日から4月13日までは、夜の運航もあります。桜の開花状況で期間が変わります。
御予約やお問合せは075-321-7696 京都府旅行業協同組合さんへお願いします。もちろん、当日、乗船場でチケットを買うこともできます。
- 南禅寺で「絶景かな!」
地下鉄東西線蹴上駅から10分ほど歩くと、南禅寺です。
大泥棒の石川五右衛門が三門の上から満開の桜を眺めて「絶景かな、絶景か
な」と言うのが、歌舞伎の「楼門五三桐」です。
南禅寺から北に上がり、熊野若王子神社から疏水に沿って銀閣寺へ向かう道が「哲学の道」です。疏水沿いの桜並木が美しいので、とても人気があります。桜の季節はかなり混雑します。
京福電鉄桜のトンネルを通って御室仁和寺へ
帷子の辻から京福電鉄北野線に乗り、桜の名所を訪ねます。
- 桜のトンネル
鳴滝駅から宇多野駅の間200mの桜並木が造るトンネルです。3月末から4月半ばにかけて、桜の開花状況に合わせてライトアップします。その時は、車内灯を消して、ゆっくりと運転します。
- 仁和寺のおたふく桜
京福電鉄御室仁和寺駅で下車し、3分ほど歩きます。
境内には約500本の桜がありますが、200本は遅咲きの御室桜です。御室桜は樹の高さが2~3mしかないので、「お花が低い」=「お鼻が低い」ので、おたふく桜と言われます。
御室桜は八重桜の一種と言われていましたが、最近、その9割が一重であることがわかりました。長い年月を経て、本来の姿である一重に「先祖がえり」をしたらしいとのことです。
足を延ばして洛西大原野へ
京都駅からJR京都線に乗って向日町駅で下車するか、阪急河原町駅から阪急京都本線に乗り、東向日駅で下車します。阪急バスに乗り換えて終点南春日町で降ります。10分ほど歩くと大原神社です。
大原野の大原神社・勝持寺・正法寺・善峯寺を廻るなら、向日町駅か東向日駅からタクシーを利用すると便利です。
- 大原野神社
参道の桜並木も美しいのですが、純白の枝垂れ桜「千眼桜」が有名です。「千眼桜」は数日間しか咲かないので、なかなか見ることができません。「幻の桜」と呼ばれています。
- 花の寺勝持寺
大原野神社から10分ほど歩くと、勝持寺です。
鐘楼堂の近くには、西行法師が植えたと言われる枝垂れ桜「西行桜」があります。境内を花で埋めつくす100本の桜も見事です。
- 正法寺
南春日町バス停から10分ほど歩きます。
枝垂れ桜と八重桜が有名です。ことに「鳥獣の石庭」の枝垂れ桜が美しいと言われます。
- 善峯寺
阪急東向日駅から阪急バスに乗り、善峯寺で下車します。10分ほど歩きます。
タクシーなら20分ほどです。
境内には約500本の桜が咲きそろいます。中でも、五代将軍徳川綱吉の生母桂昌院が自分で植えたと言われる枝垂れ桜が有名です。
現在の建物は、ほとんど桂昌院が再建したものです。
ライター 佐野 恵子