春の幕開けを満開の桜とともに~御室桜のすゝめ~』
春には桜、夏には緑、秋には紅葉、冬には雪。日本は四季の中で様々な景色を私たちに見せてくれます。春になると桜色に染まる風景には、心奪われるものがあります。今回は、そんな桜の美しい姿を見ることが出来る『仁和寺』をご紹介します。
仁和寺ってどんなお寺?
仁和寺は京都府京都市右京区御室に位置する、真言宗御室派の総本山のお寺です。
京都を代表する古寺の1つとしてその名を知られています。開基は宇多天皇で、「古都京都の文化財」として世界遺産に登録もされています。
本来は886年に光孝天皇が立て始めたお寺ですが、その寺の完成を迎えることなく崩御してしまったため、その遺志をついで宇多天皇が建てることとなりました。当初は仁和寺という名前ではなく、「西山御願寺」と呼称されていたのですが、仁和4年に創建されたことから、「仁和寺」という名前に改められました。
photo by ">Kimon Berlin
平安から鎌倉時代では盛り上がりを見せていたのですが、その伽藍は応仁の乱で全焼に見舞われてしまいました。それが近世になってから再建され、今に至ります。
仁和寺の見どころは後でまた紹介する桜だけではありません。その1つが金堂です。金堂は、現存する紫宸殿(内裏において天皇元服や立太子、節会などの儀式が執り行われた場所のこと)の、最古の遺構であるといわれており、国宝としても指定されたものです。金堂の中に安置されている極彩色で描かれた浄土図や観音図などでも有名です。
また、五重塔も人気を博しています。各層はほぼ同じ大きさになっており、初層には大日如来を意味する額がかけられています。日本一高いことで有名な東寺(教王護国寺と呼ばれることもあります)の五重塔と並んで、寛永年間を代表する塔であるといわれています。
仁和寺の桜の魅力とは?
先にも挙げたように、仁和寺の魅力の1つとして忘れられないのが桜です。金堂前を彩るソメイヨシノや、鐘楼前のしだれ桜などはもちろん見どころなのですが、本当の魅力はそれだけにはとどまりません。
仁和寺には「御室桜」と呼ばれている独特な桜があります。中門内の西側一帯を埋め尽くしている桜がそのように呼ばれています。
この御室桜は江戸時代のころから庶民の桜として親しまれていたもので、和歌でもよく取り上げられた桜です。その美しさは、なんと江戸時代の京都の名所案内書にも紹介されています。
有名な儒学者の1人である貝原益軒が記した『京城勝覧』という本なのですが、そのなかで「春はこの境内の奥に八重桜多し、洛中洛外にて第一とす、吉野の山桜に対すべし」というように記されています。古来より桜の名所として有名な吉野の桜と並べて語っても、勝るとも劣らないと絶賛されているほどの美しさだということです。その美しさは、大正13年には国の名勝に指定されるほどのものになりました。
また、この御室桜には美しさだけでなく、ほかにも特徴があります。それは「背丈が低い」ということと「遅咲きである」ということです。
背丈はなんと2~3mほどと非常に低く、花にはすぐ手が届きそうなほどのもので、より近くでその美しさを楽しむことが出来ます。そして、御室桜は京都でも一番遅咲きの桜として知られています。
2017年の開花予想はいつ?
開花時期は気候によりある程度変化はあるのですが、平均的には普通の桜が3月下旬ごろから咲き始めるのに対し、御室桜は4月中旬ごろにならないと咲きだしません。
しかし、近年暖冬の影響でその時期は早くなってきています。2017年には4月上旬ごろから中旬ごろが見ごろであると予想されています。
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仁和寺までのアクセス、拝観時間
仁和寺までのアクセスは、電車を利用する場合には、JR嵯峨野線「花園」下車後徒歩15分、京福電鉄北野線「御室仁和寺」下車後徒歩3分となっています。市バスを利用する場合には、停留所は「御室仁和寺」で、そこから下車してすぐなのですが、JR「京都」よりJRバス高雄・京北線で30分、市バス26番で40分、阪急「大宮」より市バス26番で30分、阪急「西院」より市バス26番で25分となっています。
桜の見ごろの時期には混雑が予想されるので、なるべく上記のような公共交通機関を利用するようにしましょう。詳しいアクセスや地図は公式webサイト上でも見ることが出来るので、チェックしておくとよいでしょう。
仁和寺のホームページ⇒http://www.ninnaji.or.jp/
自家用車でも来ることは可能です。駐車場は普通車の場合は100台が収容可能で、バスの場合は12台収容可能となっています。利用料金は普通車で500円、バスで1000円です。駐車場は仁和寺東側にあります。名神高速道路京都南インターより40分、東インターより40分となっています。
拝観時間は、3月から11月は9時から17時、12月から2月は9時から16時30分と、時期によって変わっています。拝観料金は御殿、霊宝館(期間限定)、茶室(特別拝観)で変則的に設定されているので、詳しくは公式webサイト上で確認するようにしましょう。御室桜の開花時期には伽藍特別入山料がかかるようになっているので注意が必要です。高校生以上は500円、中学生以下は200円となっています。30名以上になると団体割引もあります。