いつの時代も縁結びのお寺は若い男女はもちろんのこと、様々な人から人気の高いものとして語られてきました。そんな縁結びのお寺の一つが『貴船神社』です。そんな貴船神社ですが、実はそのご利益は縁結びだけには収まりません。そんな神社の魅力について今回は迫りたいと思います。
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貴船神社ってどんなところ?
貴船神社は京都府京都市左京区にある神社です(アクセスについては後述を参照)。この貴船神社は、全国に約450社ある貴船神社の総本社となっており、読み方は実は地域名である「きぶね」とはちがい、水の神様を祭っているところから「きふね」と読みます。
水の神様である高龗神をまつっており、古くからは祈雨の会様として信仰されてきました。そのため、水を取り扱う商売人からは高い人気を集めています。その水の信仰と、水は命の源でありながら、不浄のものを綺麗に洗い流してくれる浄化力のあるものであるとする考えから生まれた心願成就なども有名です。水の神が沈められているところは、気が生じる根源であると考えられたわけです。つまり、自分の体の不浄を取り除き、元気を取り戻すことが出来れば運気が開かれる、というところから心願成就の信仰が生まれたわけです。
また、水の神にもまつわる話として、航海安全を祈願するお寺としてもその名を知られています。玉依姫が船で水源を求めていた際に貴船にたどり着いたという伝説から生まれた信仰です。大阪湾から川を上り、無事に貴船に船を進めたその船さばきから船乗りたちの航海安全を祈願するというものです。その時に使われた船が隠されてると伝えられている奥院の船形石の小石を持つことで、航海を安全に終えることが出来るというように信じられています。
そして、前書きにも書きましたが、縁結びのお寺としても非常に有名なお寺となっています。通称「結社(ゆいのやしろ)」と呼ばれる中宮に磐長姫命(いわながひめのみこと)といわれる神様がまつられています。この神様が、自分のしたある行いを恥じ、「我長くここにありて縁結びの神として世のため人のために良縁を得させん」といってその地にお静まりになったという話がもとになって、その神様が縁結びの神様としてまつられているのです。そして、今から1000年前には和泉式部がそこに参拝し、名歌として知られる「蛍の歌」を奉納して恋を祈ったところ、その願いがかなえられたという逸話も残っています。おとぎ話の中でもこの神社にまつわるお話はよく見られるようです。
本宮で買うことが出来る「結び文(200円)」の裏に願い事を買い、結び処に奉納するようになっています。また、その参り方にも順序があります。貴船神社には「本宮」「奥院」「結社」といわれる三つのお社があるのですが、それらを本宮→奥院→結社の順番でめぐることによってご利益を得られるというように考えられています。これは三社詣という昔ながらの参拝方法なので、これを守って参拝することをお勧めします。また、男女でお参りをする際には、陰陽のバランスが崩れてしまうというようなことも言われているので、鳥居は別々にくぐるようにしましょう。
しかし、その縁結びの神として有名な反面縁切りの神、呪詛神としても信仰されている一面があります。「丑の刻参り」という言葉を耳にした小尾は多いでしょう。本来は「丑の年の丑の月の丑の日の丑の刻」に参拝すると心願成就する、という伝承があったのですが、それが呪詛場に転じて今のような信仰が生まれたのだという話です。
貴船神社のアクセスなど
貴船神社はの拝観時間は期間によって異なります。12月1日から4月30日は正月三が日、冬のライトアップの期間を除いて6時から18時まで、5月1日から11月30日までは20時までとなっています。また、春、秋のライトアップの期間には延長されているので、20時以降でも開いています。また、お守り、お札、御朱印の授与は9時から16時30分までとなっており、拝観可能な時間とは少しずれるので、チェックしておきましょう。基本的に年中無休開館しており、料金も無料で参拝することができます。境内の参拝にはおよそ1時間程度かかります。ただし、車いすによる見学は不可となっているので、注意が必要でしょう。
駐車場は備え付けられており、一般的な自動車が25台分の広さとなっています。利用する場合には2時間で500円かかります。ただし、連日人が多く訪れる神社ですので、駐車場がすぐに満杯になってしまうため、あまり車で行くことはお勧めしません。可能な限り公共交通機関を利用するようにしましょう。電車の場合は、叡山電車「貴船口」より徒歩30分、京都バス「貴船」より徒歩5分ほどとなっています。貴船神社の公式サイトに行くと詳しい行き方が書かれているので、それを参考にすると、乗り換えなどをスムーズに行うことが出来ると思います。