大原
平安時代から比叡山延暦寺の修行場や貴人の隠棲所があった閑静な土地です。
今も茅葺(かやぶき)屋根の残る、のどかな風景が楽しめます。
「平家物語」の舞台でもあり、紅葉の名所としても有名です。
温泉のある宿屋もあります。
大原へのアクセス
[京都駅から]
- 京都バス17に乗り、大原バス停で下車。ふつうは、1時間5分程度です。
- 地下鉄烏丸線に乗り、国際会館駅で下車。
国際会館前から京都バス19に乗り換えて、大原バス停で下車。
[京阪三条・四条河原町から]
- 京都バス16,17に乗り、大原バス停で下車。ふつうは、50分程度です。
※大原バス停からは徒歩になります。
三千院へも寂光院へも、歩いて10~20分くらいです。
三千院と寂光院は、バス停をはさんで反対側にあります。
大原の里
比叡山の西の麓(ふもと)、高野川の上流にある小さな盆地です。
古くは「おおはら」ではなく「おはら」と呼んだようです。
となりの八瀬(やせ)と合わせて、「八瀬大原」と言われます。
大原の里は、平安京と若狭湾を結ぶ若狭街道(鯖街道=さばかいどう)の中継地でした。
比叡山延暦寺にも近かったので、延暦寺を下りた僧達が修行道場を開きました。
三千院・勝林院・来迎院・寂光院など天台宗の寺院が多いのは、そのためです。
また、大原は、戦乱時の脱出口となったり、隠遁(いんとん)場所となったりしました。この地で、出家する人も少なくありませんでした。
建礼門院や大原三寂(寂念・寂超・寂然の三兄弟)が、大原で出家しました。
西行法師(歌人)や鴨長明(かものちょうめい=方丈記の作者)も、大原の里に隠棲(いんんせい)していました。
都を離れた閑静な山里は、ひっそり暮らすには、最適だったのでしょう。
中世からは、薪(まき)や炭の供給地となりました。
薪の束を頭の上に乗せて、都を売り歩く女行商人は「大原女=おはらめ」と呼ばれ、「八瀬女」「白川女」「桂女」とならんで京の風物詩の1つとなりました。
また、大原は、お茶・麦粉・そして「柴漬け」の産地としても有名です。
大原の見どころ
- 三千院
最初は、伝教大師最澄(でんぎょうだいしさいちょう)が比叡山に建てた小堂でした。平安時代の末には門跡寺院(皇族や上級貴族が住職となる寺院)になりました。
鎌倉時代には京都市中に移りましたが、応仁の乱(1467~1478)のために、現在の場所に再移転しました。
「有清園」は池水回遊式庭園です。一面苔におおわれて、杉と楓が茂っています。紅葉の名所ですが、春の新緑、夏の青葉もすがすがしくて、いいものです。
- 「往生極楽院」は、庭園の杉木立の中にあります。
三千院の本堂で、「極楽浄土の世界をこの世に表した」と言われます。
御本尊は、金色に輝く阿弥陀三尊像で、国宝となっています。
真中の阿弥陀仏は結跏趺坐(けっかふざ=あぐらをかいて座る)していますが、
両脇の勢至菩薩(せいしぼさつ)・観音菩薩(かんのんぼさつ)は、ややまえかがみの姿勢で、今にも衆生(しゅじょう=人々)を救いに駆けつけるようです。
大原バス停から徒歩10分
拝観時間 3月~10月 9:00~17:00 (17:30閉門)
11月 8:30~17:00 (17:30閉門)
12月~2月 9:00 ~16:00 (16:30閉門)
拝観料 大人700円 中高生400円 小学生150円
電話 075-744-2531
- 来迎院
9世紀半ばに、最澄の弟子、円仁が天台声明(しょうみょう)の修練場として開きました。
声明とは仏教音楽の歌のようなものです。法会(ほうえ)の儀式の時に僧侶が唱える声楽です。起源はインドにあると言われます。
一時中断されたのを、12世紀初めに良忍が再興しました。
本堂には、薬師如来(にょらい)・阿弥陀(あみだ)如来・釈迦(しゃか)如来の三尊像が安置されています。
いずれも藤原時代(平安後期)の作で、重要文化財に指定されています。
大原バス停から徒歩15分。三千院から呂川に沿って5分ほど歩きます。
拝観時間 9:00~17:00 (17:30閉門)
拝観料 大人400円
電話 075-744-2161
- 実光院
勝林院の子寺の1つです。
天台声明を修行する学僧の住居でした。
声明を聞いたり、声明の楽器に触れたりすることができます。
庭園は、歩いて楽しむ池水回遊式庭園と、眺めて楽しむ池水鑑賞式庭園の2つがあります。
回遊式庭園には「不断桜」があります。秋に満開になり、春まで咲き続けます。
秋には、紅葉と桜の両方が楽しめるわけです。
三千院からから徒歩3分
拝観時間 9:00~16:30 (受付終了)
拝観料 600円 抹茶和菓子付き
電話 075-744-2537
- 勝林院
勝林院は天台声明の根本道場で、大原では最古の寺院です。
12世紀に法然が宗論を戦わせた場所としても有名です。(大原問答)
本尊の阿弥陀如来像は、「法然の説が正しい」ことを示すために、手から光を発したので、「証拠の阿弥陀」と呼ばれています。
三千院からから徒歩5分
拝観時間 9:00~17:00
拝観料 300円
電話 075-744-2409(宝泉院)
- 宝泉院
勝林院の子寺の1つです。
客殿の柱と柱の間を額縁に見立てた「額縁庭園」が有名です。
書院廊下の天井は「血天井」と言われます。
関ケ原の合戦(1600)前夜、伏見城を守って討ち死にした鳥居元忠一党の血が染みついた床を、天井に張りました。伏見城の遺構です。
三千院からから徒歩5分
拝観時間 9:00~17:00
拝観料 700円 抹茶和菓子付き
電話 075-744-2409
- 寂光院
6世紀末に、聖徳太子が父の用明天皇の菩提(ぼだい)をとむらうために建てた尼寺です。
平安時代の末、平清盛の娘徳子が出家・隠棲した尼寺として有名です。
平清盛は後白河法皇に対抗して権勢を守るために、娘徳子を安徳天皇の中宮として入内させました。徳子の産んだ男児は、安徳天皇になりました。
しかし、清盛の死後、平家一門は源義仲(木曽義仲)に敗退して、京を追われ西国に逃げました。
西国でも、源義経の激しい攻撃に耐え切れず、ついに壇ノ浦の戦いで平家一門は滅びました。
徳子も母の時子(清盛の妻)、我が子安徳天皇(満7歳)とともに、壇ノ浦の海に身を投げました。しかし、徳子は源氏の侍に救助されて、一人だけ生き残ってしまいました。
徳子は大原の寂光院で出家して、「建礼門院」と称し、高倉天皇や安徳天皇、平家一門の菩提をとむらって、寂しい日々を過ごしました。
「平家物語 大原御幸」には、後白河法皇が建礼門院を訪れる様子が書かれています。
「諸行無常の鐘楼」「千年の姫子松」が、今もあります。
大原バス停から徒歩20分。三千院からなら徒歩30~40分。
拝観時間 9:00~17:00 (12月~2月 9:00~16:30)
拝観料 600円
電話 075-744-3341
- 途中の景色
三千院を中心に、来迎院・実光院・宝泉院へ行く途中は、お土産屋さんがあり、砂利道になっているところもあります。
寂光院はバス停をはさんで、三千院とは反対側になります。
バス停から遠い感じもしますが、ひなびたお土産屋さんも所々にあり、おいしい五平餅などを食べることもできます。
寂光院へ続く石段は「紅葉のトンネル」になっています。新緑・青葉・紅葉と、季節によって風情が変わります。
大原で食べる・泊まる
温泉のある宿屋や料理自慢の割烹旅館もあるので、ランチに利用するだけでなく、宿泊してゆっくり楽しむこともできます。
- 芹生(せりう) 大原温泉湯元 旬味草菜 お宿芹生
自家菜園の野菜・山菜・川魚などを使った「旬味草菜」の会席料理が自慢です。
ランチ予算は3,000円前後です。2人以上で予約すれば個室も利用できます。
三段重ねの「三千草弁当」がお勧めです。湯豆腐もおいしいですよ。
どの客室からも四季折々の美しい景色が眺められます。
ヒノキの露天風呂が人気です。
三千院前の合掌造りの宿屋です。
営業時間 ランチ11:30~15:00 夕食(宿泊者)18:00スタート
宿泊 チェックインは16:00~。夕食を食べる場合は17:00までにチェックインが必要です。
電話 075-744-2301
- 呂川茶屋
呂川に沿った食事処です。
かぼちゃ・ほうれん草・しそを練りこんだ京野菜うどん1,200円は、だしととろろの2種のつけ汁で味わえます。
大原バス停から徒歩8分くらいです。
営業時間 9:00~17:00
電話 075-744-2754
- 京料理 魚山園(ぎょざんえん)
三千院石段下の料理旅館ですが、ランチがお得です。
「大原女弁当あじさい膳」約4,000円を注文すると、1,100円払えば、天然温泉に入浴することができます。タオルも付いています。
ただし、11月の紅葉の時期は、入浴できません。
大原バス停から徒歩10分です。
営業時間 ランチ10:00~17:00
電話 075-744-2321
- 京美茶屋(きょうびちゃや) 豆腐・湯葉料理
三千院門前にある茶屋です。「三千院御用達」がうたい文句です。
野菜は自家菜園、豆腐も湯葉も、店内で手作りしています。
てんぷらと湯葉のついた「門前」1,800円、「もみじ」は2,000円程度です。
豆乳を使ったしゃぶしゃぶがお勧めです。
予約して行く方がいいようです。
大原バス停から徒歩10分です。
営業時間 10:00~17:00(16:10 LO)
電話 050-5787-0932
- 雲井茶屋 大原温泉湯元 京の民宿大原の里
民宿大原の里の関連店で、ランチが食べられます。
寂光院の参道の近くにあります。
自家製味噌と京野菜をたっぷり使った味噌鍋・にんにく味噌ネギピザ・白みそアイスが人気です。
ランチ予算は2,000円~3,000円くらいです。
宿泊するならば、雲井茶屋の先にある「大原の里」です。
直径1.6mある露天五右衛門風呂と味噌を使った鍋料理が自慢です。
大原バス停から徒歩15分です。
営業時間 ランチ9:00~16:30(LO)
電話 雲井茶屋 075-744-2240
民宿大原の里 075-744-2917
おみやげは、柴漬けと味噌
大原のお土産は、やはり、柴漬けと自家製味噌です。
- 志ば久(しばきゅう)
赤しば・青しばなど5種類の柴漬けと、冷やしキュウリが人気です。
大原バス停から徒歩8分です。三千院へ行く途中にあります。
営業時間 9:30~17:30
電話 075-744-2226
- 翠月(すいげつ)
ナスの塩漬けを赤しそで漬けた柴漬けがお勧めです。
寂光院の石段前にあります。大原バス停から徒歩20分です。
営業時間 9:00~17:00
電話 075-744-2405
- 味噌庵
民宿大原の里の関連店で、雲井茶屋の姉妹店です。
100年味噌造りを続けている自家製の味噌が自慢です。
寂光院への参道近く、雲井茶屋の隣にあります。
大原バス停から徒歩15分くらいです。
営業時間 9:00~17:00
電話 075-744-2240