南禅寺
「絶景かな、絶景かな」
大盗賊石川五右衛門が大煙管(きせる)を片手に、南禅寺の山門の上から、満開の桜を眺めます。
歌舞伎「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」の名場面です。
石川五右衛門と湯豆腐で有名な南禅寺ですが、本当は、どのようなお寺なのでしょう?
南禅寺へのアクセス
[JR京都駅から]
- 市バス5に乗り、南禅寺永観堂道で下車。徒歩7分です。
- 市バス100に乗り、東天王町で下車。徒歩10分です。
- 地下鉄烏丸線に乗り、烏丸御池駅で地下鉄東西線に乗り換えて、蹴上で下車。
徒歩10分です。
「ねじりまんぽ」という隧道(ずいどう=トンネル)を通るのが近道です。
[大阪から]
- 淀屋橋から京阪本線に乗り、三条駅で地下鉄東西線に乗り換えます。
蹴上駅で下車。徒歩10分です。
南禅寺の拝観
拝観時間 12/1~2/28 8:30~16:30
3/1~11/30 8:30~17:00
拝観受付は、閉山20分前までです。
12/28~12/31は、一般拝観はできません。
拝観料
三門(山門) 大人500円 高校生400円 小中学生300円
方丈庭園 大人500円 高校生400円 小中学生300円
南禅院 大人300円 高校生250円 小中学生150円
京都市左京区南禅寺福地町86
瑞竜山南禅寺 TEL.075-771-0365
南禅寺は、いつ、だれが建てたの?
瑞竜山(ずいりゅうざん)南禅寺は、臨済宗南禅寺派の大本山です。
京都五山・鎌倉五山の上に立つ、別格の禅寺です。
もともとは、1264年に嵯峨天皇が造った離宮「禅林寺殿」でした。
1291年に、出家した亀山上皇(法皇)が禅宗寺院に改め、無関普門(大明国師)を初代住職(開山)としました。
亀山法皇は、毎夜、離宮に出る妖怪に悩まされていましたが、無関普門が弟子を連れて離宮に入り、座禅を組むと、妖怪はぴたりと出なくなりました。
それで、亀山法皇は、無関普門を開山にしたそうです。
無関普門の死後、寺院の建設が続けられ、13世紀末から14世紀初めに完成しました。寺の名前も、「竜安山禅林禅寺」から「太平興国南禅禅寺」に改められました。
14世紀末、室町幕府三代将軍足利義満の時に、五山の上位に位置する別格禅寺とされ、最高格の禅宗寺院となりました。
しかし、1467年に応仁の乱が起き、戦火で寺院が焼かれてしまいました。
1607年、金地院崇殿が入山すると、徳川家康の支援により、焼失した伽藍(がらん)が復興されました。
崇殿は家康のブレーンとして活躍した僧侶で、「黒衣の宰相」と呼ばれました。
崇殿は幕府から「僧録」という地位を与えられ、全国の臨済宗の寺院を統括しました。
南禅寺の見どころ
南禅寺の境内には、勅使門・三門・法堂・方丈の伽藍が一直線に並んでいます。その周囲に、12の塔頭(子院)があります。
- 三門
三門とは、仏道を修行して悟りに到達する過程で、潜らなければいけない3つの難門のことです。山門とも書き、寺院の正門です。
藤堂高虎が、大坂夏の陣で戦死した一門の武士の冥福を祈り、寄進しました。
荘厳で雄大な三門には、実際に登ることができます。
京都の市街や南禅寺の境内を眺めながら、石川五右衛門の気分を味わえます。
- 方丈
境内の奥に建つ方丈は、国宝です。大方丈と小方丈に分かれています。
大方丈は、御所の殿舎を移築したものと言われます。
桃山時代の建築技術の粋を集めた、優雅な寝殿造りです。狩野永徳など狩野派の襖(ふすま)絵で飾られた内部は、豪華そのものです。
その庭園は小堀遠州の作で、江戸時代初期の枯山水の庭園の代表と言われます。
白砂に6つの石を配した眺めから、「虎の子渡し」と呼ばれています。
小方丈は、伏見城殿舎を移築したものと言われます。
虎の間には、狩野探幽作の襖絵「水呑みの虎」があります。
- 南禅院(別院)
嵯峨天皇の離宮「禅林寺殿」は、下の御所と上の御所に分かれていました。
上の御所に造られた持仏堂を「南禅院」と称しました。
この持仏堂の後身が、現在の別院「南禅院」です。
- 金地院(塔頭)
「黒衣の宰相」崇殿が住んだ塔頭です。
鷹峯(たかがみね)にあった寺を移築したしたものです。
方丈は伏見城の遺構を移築したと言われます。
方丈の襖絵は狩野探幽・尚信兄弟の作品です。
庭園は「鶴亀の庭」と呼ばれ、小堀遠州の作です。
- 水路閣
エキゾチックな赤レンガの建物が「水路閣」です。
琵琶湖疏水事業の一環として建てられた水道橋で、古代ローマの水道橋を手本にしました。
建てられた当時は、「古都の景観を損なう」と、福沢諭吉に酷評されましたが、現在は、南禅寺境内にしっくりなじんで、京都の代表的風景となっています。
琵琶湖疏水事業は、東京に皇居を移されて衰退する京都を復興させるために、行われた一大プロジェクトでした。この疏水のおかげで、豊富な水が供給され、京都伝統産業は、近代産業として発展をとげることができました。
水力発電所も稼働して、日本初の路面電車が走ることもできました。
- インクライン
蹴上と南禅寺の舟だまりを結ぶ傾斜鉄道の跡で、線路だけが残っています。
蹴上と南禅寺はかなり高低差があったので、当時の土木建築技術の最高峰を集めて建設されました。
「舟が山を登る」と、見物人の山ができました。舟が船台に乗せられて、傾斜する線路上を走ったのです。
現在は、桜の名所になっています。
南禅寺でランチ
- 総本家ゆどうふ 奥丹(おくたん)
「南禅寺と言えば、湯豆腐。湯豆腐と言えば、奥丹」というほど有名な店です。
創業370余年という老舗(しにせ)です。
メニューは「ゆどうふ一通り」だけですが、湯豆腐に、田楽・てんぷら・とろろごはんなど、盛りだくさんな内容です。3,500円程度です。
市バス南禅寺永観堂道バス停から徒歩10分です。
営業時間 11:00~16:00(土・日・祝は16:30)
電話 075-771-8709
- 順正
広い庭園に建てられた書院造りの建物で、気楽に湯豆腐や湯葉料理、会席料理がいただけます。
湯豆腐の他の料理もそろっています。
ランチは3,000~4,000円、夜は6,000~8,000円です。
市バス南禅寺永観堂道バス停からでも、地下鉄東西線蹴上駅からでも、徒歩10分くらいです。
営業時間 11:00~21:30
電話 075-761-2311
- 日出うどん
カレーうどんのお店です。
麺(そば・うどん・中華めん)と辛さが選べます。
オリジナル・カレールーが自慢です。
「売り切れごめん」の特カレーうどんは1,000円です。
市バス南禅寺永観堂道バス停から徒歩5分です。
営業時間 11:00~15:30
電話 075-751-9251
- 瓢亭(ひょうてい)別館
早起きして「朝粥(かゆ)」でブランチするのは、いかがでしょう?
もちろん、ランチにしてもいいですね。
明治の初め、祇園で朝まで遊んだ旦那衆の要望で始まったそうです。
お菜がなくてもおいしく食べられるように餡(あん)がかかっています。
朝粥定食は4,500円です。
地下鉄東西線蹴上駅から徒歩5分です。
営業時間 8:00~11:00 12:00~16:00
電話 075-771-4116
- 一休亭
親子丼と一休うどんがお勧めの、創業30年のうどんやさんです。
一休うどん900円、にしんそば1,100円、親子丼900円です。
地下鉄東西線蹴上駅から徒歩5分です。
営業時間 11:00~16:00
電話 075-751-7866